3.瓦礫旅行記

あれは私が十の夏
流行り病が町を襲い
太陽さえもついぞ現れなかった
あの夏

(母さんは言っていたのだ!
「決してあれを開けてはいけないよ」と―)

広がる呪い
枯れ果てる大地
町が灰色に染まる―

石の廊下に響き渡る
姉さんの怒鳴り声
兄さんの嘆き声
私は一人なにもできず
本棚の影
うずくまりふるえていた


まず姉さんが家を出た
母さんの杖を掲げて
じき兄さんも家を出た
伝家の剣を携えて



広い屋敷に一人
待てど暮らせど
二人は戻らなかった

灰色の町に
吹き荒ぶ冷たい風が
私を呼び起こす―


私は旅に飛び出した
埃かぶった古い外套を手に
見知らぬ世界
見知らぬ道
手がかり求め
あてどなく歩き往く
私の旅は終わらない

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